ローカルニュースが、
いつの間にか全国的な話題になっています。
話題の核心は、アルマーニから、公教育とは?という論点に
移っているようです。
その後のニュース①
連日、いくつもの関連ニュースが追加されています。
2月9日に気になった記事はこちら。
⇨「アルマーニ」制服で波紋の泰明小学校、卒業生のプロレスラーが明かす導入までの内幕
泰明小卒業生のプロレスラー三州ツバ吉さんに
スポーツ報知が取材した記事です。
昨年秋くらいに、制服が変わる話が伝わり、
一部の卒業生とPTAが導入に反対する文書を
校長宛に送って、却下された、と語っておられます。
「泰明小は、区外から通学してらっしゃる児童も多いので、
そういう方は納得している。
一方で昔から銀座に住んでお子さんが通っている父兄は、
銀座に愛着あるので複雑な思いを持っています。
その辺りに父兄の中でも温度差があります」
『銀座』に対するイメージが、実際に居住している人々と
外部から来てる人々で、乖離しているようです。
その後のニュース②
2月10日、泰明小の和田校長が会見して新標準服の導入の
経緯を明かしました。
一式9万円の「アルマーニ標準服」 泰明小の校長「価格の条件付けず、交渉もしなかった」
2015年から、銀座に店のある有名ブランドに
自ら電話をかけて打診していたという和田校長。
教育委員会にも昨年夏前まで報告してないという。
アルマーニとは価格の交渉もしていないとのことで、
この会見の記事だけ読むと、
こういう大人に小学校の運営を任せて良いのだろうか・・・
と、大変不安になるのですが、
学校運営と商売事は相容れない要素も多分にあるだろうから、
和田校長はきっと先生として優秀な方なのでしょう。
この記事で、私が一番引っかかったのは、以下の箇所。
保護者の負担になるのでは、という質問には(中略)
「本校の保護者の方なら、それぐらいは出せるんじゃないか
と思っております」と回答した。
公立校として、たとえ一人でも、その負担を負えない家庭が
あってはいけないのではないでしょうか。
いくら銀座だからといっても、
銀座にだって庶民的な家庭は多分あるし、
ましてや学区外の子は、
別に金銭面で何らかの選別があって
入学してるわけではありません。
あまり裕福ではないけど、
少しでも良い教育を受けさせたい
という思いで、泰明小に入学させた親御さんも
いるかもしれません。
学区外だったら、入学を取りやめて自分の学区の小学校に
入ることも可能だけれど、
泰明小の学区域に住んでて、何らかの事情で
標準服の費用が工面できない家庭があったとしたら、
そこのうちの子は、どこの学校に行けばいいのでしょうか?
そんなことを考えてたら、
そんな子はいないかもしれないけど、
子供がかわいそうで、しょうがなくなってきてしまいました。
その後のニュース③
そして、これはさっき読んだ記事です。
泰明小在校生の保護者がハフポストに寄せた投稿文です。
【アルマーニ標準服】保護者が語る「泰明小を取り巻く環境とまなざし」
この記事によると、和田校長は5年前に赴任されたとのことで、
その頃は、素朴で気さくな感じだったという。
それがいつの頃からか、
子供達よりも周囲の目をきにするようになり
「泰明小の子供らしくしなさい」と
口うるさく言うようになっていった、とのことです。
地域の人々、保護者、教職員、それぞれに「泰明小」のイメージがあって、
そういう期待や圧力に応えようと校長なりに苦心していたようだ、
と綴られています。
以下、抜粋して引用。
この学校では、一部の地域の関係者や保護者、教職員といった、
大人たちが期待する『泰明らしさ』がまずあり、
そこに子どもをはめて下さい、となっている。
本当に胸が痛くなる話だな・・・
誰も悪い人はいなくて、みんな、泰明小に対して
それぞれの思いを抱いていて、
校長もまた、必死に応えようとしている姿が浮かんできます。
感想とまとめ
この3つの記事は、全て当事者と言える人が
それぞれの視点から泰明小を語っていて、
誰一人として泰明小を愛してない人はいないのです。
ウェブニュースのコメント欄を見ると、
校長を批判する人が多いけれど、
先にあげた(校長の会見以外の)二つの記事を見る限りでは
当事者的には校長が悪いとは一概には言えない、
という観点が伺えます。
一体なんでこんな事態に陥ってしまったのだろう?
恐ろしいことに
最近、全てのことが自分の中では
最終的に行き着いてしまう場所があります。
それは、
日本社会の、文化の、知性の、衰退。
先の保護者の方の投稿の記事にはこのようなくだりがありました。
「通学のバスの中で子供がうるさいというクレームが入る」
何という不寛容な社会なんだろうか。
子供が騒いでいたら、その場で注意すれば良いだけなのに。
学校側もそれに対応して、「泰明の子らしくしなさい」と注意するという。
子供がただ注意して聞くならば、
バスの中で騒ぐ子供はそもそもおらぬのではあるまいか。
何か、社会全体が、考えたり、話し合ったり、工夫したり
そういう、めんどくさくて、時間がかかって、ストレスの多いものを
避けて、誰かが解決してくれるのを待っている、
という感じがします。
そして、その「誰か」とは子供たちです。
私も人ごとではありません。
この泰明小の制服の一件は、いろんな事を気づかせてくれました。
どうか、無用な軋轢が生まれませんように。
傷つく子供がいませんように。
『銀座でアルマーニ』が、思いの外インパクトがあって、
全国的なニュースになってしまったけれど、
本来は、ごくごくローカルな、
その地域の人たち、当事者によって解決されるべき
話題だと思いました。
街も人も変わっていく。
チャレンジすることは悪いことじゃない。
泰明小学校を思うみんなの熱い気持ちが、
良い方向に向かって、素晴らしい未来が
待ってますように!