分身ロボットカフェ「DAWN」@渋谷 WIRED TOKYO 1999に子供たちと行ってきた

分身ロボットカフェに行こうと思ったきっかけ

「分身ロボットカフェ DAWN 」は

「人類の孤独の解消」を目指すオリィ研究所によるプロジェクトです。

身体が不自由であったり、外出困難なパイロット達が遠隔操作型の

分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」でカフェの接客を行う、

新たなテレワークの可能性を模索する社会実験です。

 

昨年のいつぐらいだったか忘れたけど、

Twitterで吉藤オリィさんの記事がリツイートされてきました。

 

それは確か「不登校で引きこもっていた少年が、ロボット開発に出会って、

立ち直って、今はロボット研究の第一人者として活躍している」みたいな

切り口の記事だったと思います。

 

その時は、「いい話だねえ。」くらいの感想だったのだけど、

その後なぜかオリィさんのツイートがリツイートで回ってくる頻度がまして、

いつの間にか、相当気になる存在になってました。

 

昨年10月の大手町の分身ロボットカフェは行けなかったので、

次の機会があれば、ぜひ行こうと思っていました。

渋谷にロボットを見に行く、みたいな感覚で

このように、

オリィさんが入り口の私にとって、

『分身ロボットカフェ』は

 

実際のオリヒメってどんな感じなんだろう?

スムースに作動するのかな?とか

声はちゃんと聞こえるのかな?とか

 

その程度のイメージしかなかったのです。

(これは後で気付いたこと。)

 

それから子供連れて渋谷に行くのは初めてだったので、

その不安が心の中の3割くらいを占めていました。

 

つまり、どういうことかというと

私が『分身ロボットカフェに行こう』と思い立った時点で、

分身ロボットを操作するパイロットの皆さんのことには

ほとんど考えが至ってなかったのです。

当日のながれ

整理券をもらいに10時に渋谷のワイアードトウキョウという

カフェに行きました。

 

その時にスタッフの方から、

「小さなオリヒメが常駐しない席になるけどいいか?」という

趣旨のことを聞かれ、

よくわからないけど、大きなオリヒメが飲み物を持ってきてくれるなら

いいんじゃないかな?と思って、

大丈夫です!と答えて整理券を受け取りました。

 

オリヒメパイロットの人と話す機会があんまりないってことかな?

とか考えながら、まあでも子供も一緒だし、

今回は社会科見学ってことでいいや・・・と考えながら

電車に乗って一旦帰宅。

 

13時半ごろ、子供を連れて再び渋谷に向かいました。

 

子供たちは、渋谷に降り立つのは初めてで、

人の多さに驚きつつ、

「スプラトゥーンみたいだねえ!」と感想を述べてました。

 

確かに。新宿には習い事で毎週行くのだが、

同じ大都会でも、新宿はスプラトゥーン感はない。

 

ワイアードカフェは地下鉄の出口すぐの建物にあって、

雑踏の中を歩かずに済むのは本当に助かりました。

いよいよ分身ロボットカフェへ潜入

カフェの入り口には、大きなオリヒメと小さいオリヒメがいて

待ち時間にお話してくれます。

 

子供たちは、びっくりしちゃって、

当初、まともに目?を合わせられないような状態でした。

 

4歳の息子は、完全に「ロボット見知り」してしまって

離れたところから様子を伺う始末。

 

私も、最初、どう接していいのか、全くわかりませんでした。

 

当たり前といえば当たり前です。

だって、目の前にいるのが、ロボットなのか人なのか、

自分の経験では理解出来ないんだもん。

 

「えーとー・・・。あ、写真、撮ってもいいですか?」

 

肖像権?とかプライバシーとかって言葉が頭を掠めた。

ロボットだから肖像権とかないのか?

でも、人だから。

 

「いいですよー」と快く承諾していただき、

色々、ポーズなどもとってくれました。

 

予約時間になり、席に案内されると

お、想定外に、小さいオリヒメさんがいらっしゃる!

 

どういう経緯かは知りませんが、

私たちもオリヒメさんのご接待をうけることが出来ました。

 

私はけっこー、一度に一つのことしか出来ないタイプなので、

「席について飲み物をオーダーする」

「オリヒメパイロットの方と簡単な会話をする」

「子供たちを制する」

これらのことを、ロボットと人が入り混じって働くカフェという

特殊な環境で短時間にやらなければならない・・・

ということで一瞬バグってしまった。

 

多少正気を取り戻してからは、パイロットさんとお話することが出来た。

 

最初、お相手して下さったのはのぞみさん。

のぞみん、って言ってたからオリィ研究所の秘書ののぞみさんかと思います。

(後で知った)

 

のぞみんが席を外して、その後いらっしゃったのは

桜さん(さくちゃん)。

 

帰ってから、私のツイートにリプを下さって、アカウントを見に行ったら

なんと金髪美女でびっくりした。

 

飲み物を運んでくれたのは、マサさん。

 

 

他のお席にはパイロットさんを紹介するタブレットがあったようです。

 

しかし、私たちの席はおそらく急遽オリヒメを配置することになったからか、

パイロットさんの情報はありませんでした。

(冊子はあった。が、ページをめくって見なかったのだ。)

 

だから、目の前のオリヒメと、そこから聞こえる声と、

オリヒメの動作が全て。

 

初対面の人と話す!ってことですよ。

 

冷や汗もんですよ・・・!

 

後で、振り返ってこれはどういうことだと考えるに、

私なんぞ、オリヒメとペッパーくんの違いが

わかってなかったんじゃないかなー?

 

ロボットを見に行こう!くらいのノリで行ったら、

人間でびっくりした、って書いたらアホかと思われるかもですが、

そんくらいびっくりした・・・。

 

子供たちも次第に慣れてきたら、

なんか話そうとするんだけど、

まあ大体親の私が聞いても何言ってるんだかわからない。

 

子供が失礼なこと言い出すんじゃないかと

勝手に冷や冷やしたりして。

 

私も、例えば、どのような障害をお持ちなんですか?という質問を

しても良いのか?と逡巡してしまいました。

 

普通、初対面の人にそういう質問は多分しない・・・から。

 

後で考えてみたら、パイロットの人たちがどういう生活をしてるのか

私たちは知らないから、だからこそ、聞いて理解を深める

そういう機会だったのに、何を遠慮してしまったのだろう。

 

障害者の方に、「これを聞いたら失礼かしら?」とか

「子供が失礼なことを言ってしまうかも知れない」とか

勝手に先回りして考えて、自分や子供の発言を封じてしまう。

 

それこそ失礼な話です。

 

でもきっと、普段から自分は人と距離をとって

当たり障りのない話だけして、済まそうと思っているんだろう。

 

私は混乱していたけど、

パイロットのサクちゃんは、元保育士だそうで、

子供とお話するのすごく上手。

 

子供たちは、サクちゃんがスプラトゥーンやると聞いて、

スプラトゥーンの話ばかりしたがる。

 

ゲームの話ばかりしないで、もっと、なんかこう、

子供らしい素朴な疑問とかないの?

と私は勝手に焦っていました。

 

そんなこんなで、50分はあっという間に過ぎ、退店時間に。

 

子供たちは、「楽しかったー!」「また来たい!」と興奮気味に

話していました。

私は、店を出てから

(この、思ってたのと違った感じって、一体なんなんだろう?)と

しばらく茫然としておりました。

おまけの話。

この後、まっすぐ銀座線の渋谷駅に向かい、

自動改札を通ろうとしたら、

構内から大声(奇声)をあげて

二十代半ばくらいの女の人が走って来ました。

 

我々はびっくりして、しばし立ち止まりました。

 

女の人は、何かを叫びながら連れのお婆さんをバシバシ叩いている。

そして、駅の警備員の人が3人がかりで止めている。

 

子供たちは、本当に驚いて無言でずーっとその光景を見ていた。

 

私は、状況を把握しました。

女の人は、知的障害者で、叩かれていたのは多分お母さん。

何かがあって、パニックになってしまったようでした。

 

子供たちは「怖い」と何度も言って、

さっきまでの高揚した気分も吹き飛んでしまったようです。

 

私は「怖い人じゃなくて・・・」としどろもどろになって説明しましたが、

考えてみたら娘の在籍する小学校には

知的障害を持つ子はいません。

車椅子の子もいないし、視覚障害や聴覚障害の子もいません。

 

私が小学生の頃は、知的障害の子は一学年に一人くらいいたと思うし、

車椅子の子もいた。

仲良くしてたってわけではなく、

子供だから多分残酷なことを言う人もいただろうし、

私も、距離を置いて接していたように思います。

だから普通学級で、一緒に学ぶことが

すなわち理解に繋がる・・・とは思えないけど、

そういう人がいると知るきっかけにはなるはず。

 

でも、学校に全く障害者がいなかったら、

どこで彼ら/彼女らのことを知ることが出来るんだろう?

 

まさか、一生知らないままってこともありうるのだろうか?

 

知らなければどこまでも、他人事でいられる。

他人にはどこまでも、残酷でいられるこの社会である。

そんな社会の片棒を、自分の子供たちに担がせたくない。

私自身ももっと色んなことを知りたいし、

子供たちにも知る機会をなんとかして作ってあげたいと思いました。

 

 

渋谷に来た時と、帰る時では

確実に自分の中の何かが違うふうになった。

人と出会ったからなんだろうか?

 

不思議な感じだけど、考えてみたら当たり前だ。

人が操作するロボットとお話する経験なんて

今までしたことないもんね。

 

初めての事態に直面して、

面食らっているってことなんだと思うのです。

 

この記事を書いた人

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リョウコ

1974年生まれ。子供が2人と旦那が1人で、栃木県在住。
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