ホームレスのおじさんとの会話

12月の寒い日に勇気を出してカイロを持ってってから

交流が続いている、公園に住むおじさん。

 

暖かくなってからはあまり差し入れにいってない。

 

先月の雛祭りの日にちらし寿司を持って行ったのが最後だ。

 

なんで、足が遠のいてるのかというと

仲良くなりつつあるから。

 

おじさんが、私にココロを開いて、

私が来るのを心待ちにしているような感じがしてしまった。

 

それで、私が勝手に敬遠してしまったのである。

意味がわかんない、と思う。

でも私はいつも、親しくなりそうな時ほど

距離をあけてしまう。

 

言葉では言い表せない、この感情。

 

久しぶりに、まいばすけっとで、

鳥からとおにぎりを買って持っていった。

 

こんちはーというと、おお?と返事。

 

それから

ヒマでヒマで、まいったよと言う。

 

普段の日の半分も人がいないって。

 

「何か困ってることはある?」と聞いたら

「体が痒くて困ってる。なんか薬ない?」と

初めてリクエストがきた。

 

そう、私は困ってる人じゃないと

どうしていいのかわかんないとこがある。

 

すぐさま、近所の薬局に行って

ラナケインを買って渡した。

 

それから、いろんな話をした。

 

おじさんは、青森、五所川原の出身で

弘前は青函連絡船が通ってた頃はすごく景気が良かったと。

 

中学の修学旅行で東京に来て

上野や浅草を回ったこと。

 

小学校は給食がなくて

農家の人は白米に納豆を持ってって

みんなで分け合ったこと。

 

農家と商家では弁当の中身が違ったこと。

 

色んな話を聞きながら、

おじさんの心の中では

幼い頃の青森が

今も、昨日のことのように

まざまざと思い返せるんだなって思った。

 

夜、寝る時とかに思い出したりするんだろうか。

 

おじさんと話してたら

テレビで見た集団就職の映像とか

昭和の活気溢れる東京の街、

悲喜交々

勝手に想像してしまった。

 

娘が漢字の練習をしないって話したら、

「オレなんか、ペンを持つことも、もう、なくなっちゃったもんね〜」って

笑ってた。

 

悪い人生とは思わない。

私は、自由な人生だと思う。

この記事を書いた人

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リョウコ

1974年生まれ。子供が2人と旦那が1人で、栃木県在住。
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