最愛のカナヘビがいなくなってしまった。
先週末の出来事である。
最近、日中は、外のプランターに網を被せたところで過ごしていたのだが、
2時間ほど見に行かない隙に、いなくなっていた。
気づかなかったのだが、網に穴が空いていた。
たぶんそこから外に出ていったのだろう。
外、といっても屋上である。
コンクリートで隠れるところもほとんどない。
案外みつかると思っていたのだが、
目ぼしい隠れ場所にはおらず、途方にくれてしまった。
コンクリートのざらざらした壁ならば
カナヘビでも登れる。
でもそこからはどこにもいけない。
落下してしまったのだろうか・・・。
日没まで数時間、屋上のみならず
ビルの周辺も探したが見つからず、
次の日からは2泊でキャンプに出てしまった。
「カナヘビ 脱走」でググったら、
いなくなって23日後に出てきたという強者もいた。
けど、家の中ではないからなあ・・・。
それからというもの、
家の周りのちょっとした雑草や枯れ葉のあるところを
いつも気にしてしまう。
そう、まるで山崎まさよしさんの歌みたいに。
♪いつでも捜しているよ、どっかに君の姿を
枯れ草のした スリッパの中
こんなとこにいるはずもないのに〜(涙)
一体この街に、カナヘビは何匹いるだろう?
1匹もいないのだろうか?
明け方に落ち葉を一枚ずつひっくり返したら、
小さくうずくまって眠るカナヘビを見つけることができるだろうか。
あるいは寒い冬の日に、
コンクリートで覆われていない地面を全部掘り返したら
この街の土の中にも、
カナヘビやかえるや亀が冬眠しているのだろうか?
そんなことは誰も調べないし、
誰も街に住むカナヘビやかえるや亀のことを気にとめてない。
たとえそれらを目にしたとしても
あまりにも個人的で些末な出来事で
その情報が共有されることはないだろう。
どこかにいるのだろうか、私のカナヘビも。
川の近くの公園の茂み、あそこは住みやすそうだ。
クモもたくさんいる。
元気に生きていてくれればいいのだが。
♪生きていたなら、いつかは会える〜
夢でもあえるだろう〜
と、気づけば口ずさんでいる。
でも多分もう会えない。生きていても。
私は喪失感で悲嘆にくれているのだが、
カナヘビにしてみたら、
いつか出てってやると常にチャンスを伺って暮らしてたわけで、
脱出成功である。
晴れて自由の身なのである。
飢えて死のうが猫に食われようが、
自由が最高なのである。
ざまあみろ、と言ってるに違いない。
私は自由に憧れているくせに、安定を捨てることはできないので
カナヘビがいなくなって
(自分の心を投影して)
さぞ困っているのではないかと心配してしまうのだ。
カナヘビは、お前とは違うぞ、と言ってるに違いない。
私には、いつかまたカナヘビと一緒に暮らしたいという気持ちがあるのだが、
カナヘビを小さいケースに閉じ込めておくのはもう嫌なので、
カナヘビの住んでるところにいつか私が行く方がいいのだと思う。
カナヘビ、1年間ありがとう。幸せだったよ。
あなたは私の師匠です。