朝も早よから
尺取り虫を持ったばーちゃんに
凸された話。
尺取り虫とは
尺取り虫とはシャクガ科の
ガの幼虫全般の総称らしい。
通常のイモムシと異なり、
腹部に5対の足が、
後方の2対を残して
退化している為、
全身を使って尺を測るように歩く。
これが長さを図っているように見えるので
「尺取り虫」と呼ばれるそうだ。
(Wikipedia 「シャクトリムシ」の項を参照)
ばーちゃんが、
育てているゴーヤに
くっついていたのを見つけて、
孫が喜ぶだろうと
持ってきてくれた。
確かに、
3歳の息子は
こないだ小さい緑色の
尺取り虫を見つけたことを
未だに自慢げに話してくれる。
しかし、
ばーちゃんが持ってきた尺取り虫は
そんな可愛らしいやつじゃなかった!
枝?
でかいな・・・。
7歳の娘は完全にひいてる。
そんな我々を尻目に
ばーちゃんはさっさと朝のアルバイトに
出かけてしまった。
当然、尺取り虫は置いてった。
尺取り虫の絵を描いた
まあでも、尺取り虫、
眺めてたらなかなか可愛いやつだ。
よし、絵を書いてみよう!
と2人をそそのかして
書かせた絵がこちら。
右が3歳児の絵で、
左が7歳のお姉ちゃんの絵。
まあ2人ともよく描けてる。
緑のゴーヤの周りをぐるりと
囲った黒い線は、
尺取り虫を入れたペットボトルを
表現しているのだ。
ちょっと目を離した隙に
事件が起こった。
お姉ちゃんが怒って、
泣いているのだ。
おお、どーした?どした?と
事情を聞くと、
3歳児が
お姉ちゃんの尺取り虫の絵の
ペットボトルに蓋をした、
というのである。
ほほー。
この黒い横線は蓋を表現しているのか。
勝手に書き足してしまったのを
娘は怒っているのだろうか。
3歳児は、言う。
「だって、フタしとかないと、
尺取り虫が、出てっちゃうじゃないかー!」
娘は言う。
「フタしたら、遊びに行けないし、
息ができないかもしれないでしょー!」
なんと、絵の尺取り虫の取るべき行動について
見解の相違があるようなのだ。
子供達にとって、
絵に描いた尺取り虫も
現実の尺取り虫も
同様にリアルなのか。
星の王子さまみたいだな
星の王子さまの冒頭の話を思い出した。
飛行機乗りの「ぼく」が
王子さまと砂漠で出会って、
仲良くなるシーン。
「ねえ、ヒツジの絵を描いて」と言われて
ヒツジを描くのだけど、
何度描いても王子さまは
気に入ってくれなくて、
最後に「ぼく」は箱の絵を描く。
「こいつは箱だよ。
あんたの欲しいヒツジ、その中にいるよ。」
すると王子さまは喜んで、
「うん、こんなのが、ぼく、
ほしくてたまらなかったんだ。
このヒツジ、たくさん草を食べる?」
王子さまの星は小さくて、
あまり草が生えてないらしい。
「ぼく」は王子さまに言う。
「心配いらないよ。
だから、ぼく、
ほんのちっぽけなヒツジ、
かいたんだ。」
こうして「ぼく」は王子さまと仲良くなる。
自分も幼い頃はこんな風に
空想の世界で遊んだのだろうか。
もはや、思い出すことは出来ない。
子供と大人は明らかに違う人間だ、と
私は思っている。
子供は小さい大人ではない。
子供と仲良くなりたかったら、
私も尺取り虫のペットボトルの
フタについて、
一緒に議論しなければなるまい。
一緒に議論するどころか、
もしかしたら、
大人らしく、二人が安心して
納得できる見解を述べなくては、
信頼は得られないのかもしれぬ。