【断捨離★顛末記】「誠実さ」と「身体性」について

去る5月19日、20日の両日に

ごみ処理業者さんに来てもらって

大々的に断捨離を決行しました!

家が片付いた

 

我が家は、エレベーターなしのビルの4階。

 

さらに内階段で3階まで昇った屋上部屋に、

大量の合法に投棄されたゴミの山があります。

 

自分たちの名誉の為に書きますが、

私たちのモノではありません。

 

故人である私の叔父さんが

20余年かけて積み上げたゴミの山が

遺族によって整理されることなく

放置されているのです。

 

で、私たちがそれを処分するのも

費用を持つのも筋違いなので、

今までは家庭内別居状態で

やり過ごしていたのですが、

断捨離熱が高まって、

「こんな大量のゴミと同居している人生は嫌だ!」

と踏ん切りをつけました。

 

ゴミ処理業者さんに見積もり依頼

 

最初に大手ゴミ処理業社さんに

見積もりを依頼しました。

 

家にゴミの総量を見に来てくれました。

 

それで、作業員3名、4トンロングで、

外階段が別料金で、

しめて17万円というお見積もり。

 

うーーーん、高いな・・・。

 

と思っていたら、

別件で査定を頼んだリサイクルショップの

お兄さん(Sさん)が、

遺品整理なども請け負っているとのことで、

見積もりしてもらいました。

 

Sさんところは、協力業者さんに人を募って、

4tトラックで2日に分けてやる、

作業員は3〜4人で、しめて14万でやります!

と言ってくれたので、

あ、じゃあ、お願いします!

と、交渉成立したのでした。

 

(結局、当日に追加のゴミが次々と出て

最終的には17万円お支払いしました。)

ゴミ業者さんは儲かるの?

 

19日の午前10時頃から作業は始まりました。

 

大の男が4人で、大量のゴミを運び出します。

 

それが、屈強な男どもが、いとも軽々と・・・

ではないのです。

 

普通のお父さんレベルの男性が、

ヒーヒー言いながら

汗だくで、赤の他人の家のゴミを

一生懸命運び出してくれているのです。

 

それを眺めながら、

すごーく大変そうだったので、

この労働で、

17万円って見合った額なのかな?

(もちろん正規の交渉で決まった額ですが)

と考えていました。

 

うちにとって17万円は

決して安いお金ではありません。

 

しかし、Sさんにお支払いした17万円の中から、

作業員さんに日当2万円支払ったとして、

残り11万円。

 

ゴミ処分場に支払う処理費が

どんなものなのかわかりませんが、

ネットでちらっと見たら

1tあたり1万5千円くらいとか。

 

4tで2往復、マックス8tまで積めますが、

8tはないかな?

 

でも6tあったら、それだけで9万円。

 

Sさんの取り分は、2万円・・・。

 

あくまでも想像の数字でしかないのですが、

実入りの良い案件ではないのは

確かです。

 

最初に見積もりをとった

業界大手の会社さんからは、

その後何の連絡もなかったから、

できればやりたくない案件なんだろうなあ、

と想像します。

ゴミ処理業者さんに対する私の偏見

 

私にとってのゴミ処理業者さんのイメージって、

どことなくダークなものです。

 

ブラックではないけど、グレーみたいな存在。

 

それは多分、

不法投棄とか、

リサイクルショップにおける

いわゆる「押し買い」(押し売りの逆の)とか、

廃品回収〜とスピーカーで音声を流しながら

車で回っている人たちとかから

来ているイメージです。

 

なんとなーく最終的に暴力的な人たちに

繋がっているのかなあ・・・

って思っているのです。

 

もちろんクリーンな会社が大半だろうけど、

そういう側面も多分あるんだと思います。

 

で、今回お世話になったSさんですが、

非常にこざっぱりとした爽やかな

痩身のイケメン。

 

名刺にはリサイクルショップの名前と

代表取締役の肩書き。

 

年の頃は30代後半か40代前半か・・・。

 

ノリが良い、愛想が良い。

 

でも笑顔には影があって、

腹割って喋ってないなって感じです。

 

私の第一印象は

「実業家」か、

「チンピラ」か、

「居酒屋店長」のどれだろう?

てな感じでした。

 

まあ、ゴミが片付けば

どれでも良いやと思いましたが。

 

ゴミ業者さんへの偏見もあって、

あまり良い印象ではありませんでした。

 

当日は、アルバイトの子にやらせるか

外注先に丸投げするのかなって思ってました。

現場からのレポート

 

初日は、4人の男性が、

3時間程度作業して行きました。

 

Sさんよりも年長の、ベテラン風な人がふたりと

若者がひとり。

 

Sさんの見積もりが

どうやら甘かったらしく、

一番ベテラン風の、

トラックで荷捌きをしていた男性が

「これじゃ赤字だよー!」と言ってたと

おとーちゃんから聞きました。

 

うーん。そうだろな。

 

想像を絶する量のゴミが掘れば掘るほど

出て来ます。

 

午前中であらかた片付く

という算段だったのでしょう。

「明日は手伝えないよー」なんて話してるのが

聴こえてきました。

 

結局、3分の2も終わらず初日は終了。

 

手付金として10万円先に欲しいと言われ、

支払いましたが、

もしかしたら明日はバックレる気かもな・・・

という考えが私の頭によぎりました。

 

チンピラ、ヤクザだったら

こんな金にならない仕事はさっさと見限って

文句言ってきたら恫喝すれば

問題ないって思うかもしれませんよね。

 

どうなるかなって思ってたら次の日、

ちゃんと来てくれました。

えらい!

 

2日目はきっと協力業者さんの都合で、

朝8時から作業が始まりました。

 

3階に残る最後の大物を運び出して、

一旦店を開けないといけないからと

作業を中断してみなさん帰って行きました。

 

小一時間して戻って来たSさんに

飲み物を差し入れしようと思って

「今日は何人来るんですか?」と聞いたら

「今日は自分ひとりです!」

とのお返事。

 

おええええーーーー!!!

 

もう、聞いただけで吐きそうになっちゃいました。

 

大きなものは運び終わったとはいえ、

まだまだ100往復分くらいの

ゴミが残っているんですよ。

 

ひとりでー?

 

えええーーー???

 

それは大変、と結局、

我が家も総出で、

本当に、ちびっこふたりも手伝う!と言って

(邪魔なだけだったが)

3階から玄関、

玄関から1階と何往復もして

ゴミを運び出しました。

人に対する見方が変わる時

 

Sさんは、多分応援の人呼んだら

それこそ赤字になっちゃうから

あとはひとりでやろうとしたのだと思います。

 

やり方が上手だとは決して思わないけど、

請け負った値段で、

仕事をきちんとやり遂げようという、

誠実な人柄が伝わって来ました。

 

ほとんど儲けが出ない案件で、

肉体を酷使して、

成果は人のうちがスッキリ片付くだけ。

 

しかも、この仕事が次に繋がって

楽して安定した収入が得られる・・・

という類のものでもない。

 

それを一生懸命やってくれたことに

なんだか感動してしまいました。

 

なんでなんだろう?

 

これが、例えば、

自動ゴミ吸引機みたいなものがあって

ボタンひとつで自動で

ゴミをトラックの中まで運べて、

誰もヘトヘトにならないで

部屋がきれいなるんだとしたら。

 

誰かが肉体を酷使することなく、

同じ結果が得られるならば

そっちの方が絶対良いだろうし、

はい17万円です、って言われたら

この機械お高いのねーって思うだけです。

 

だからこの「感動した」っていうのは

人間の「身体性」に起因するものなのでは

ないかと、考えているのです。

 

ハイデガーの『存在と時間』じゃないけど、

人間の身体って

ここにあるモノでありながら、

時間性も持っています。

 

その身体を使って行う行為が、

大げさにいうとその人の人生だと

いうこと・・・なのではないでしょうか。

 

例えば、心の中でその人は

「こんな仕事クソだ」って

思っていたとしても、

その人の身体を使って、

その人の人生の時間を使って、

遂行された行為そのものには

ウソはないです。

 

どんな事情があっても、

約束した仕事が実行されなかったとしたら、

(正当な理由とかはここでは問わない)

それはウソの約束をしたことになって

その人の誠実さは少なからず

損なわれる・・・。

 

なんだか上手く説明出来なくて

非常にもどかしいのです。

 

「いいやつか悪いやつかは、

わからないけど、

この人は信頼に足る人物だと思った。」

というのが、

私にとって非常に目新しい

感情の変化だったのです。

後日談

 

不用品の処分にお困りの方は、

ぜひ一度相談してみたらー?というノリの

ブログにまとめようと当初思っていました。

 

それで、そのリサイクルショップの情報を

載せようと検索しました。

 

そしたら、

そのお店の運営会社の代表取締役は

別の人物の名前が記載されておりまして・・・。

 

そのお店が求人サイトでアルバイトを

募集してる記事があって、

そこには件のSさんのお写真がありました。

 

『店長』って書いてありました。

 

うーーーん。

 

入社4年目、前職は飲食店って、書いてある。

 

家庭との両立の為に転職って書いてある・・・。

 

うちの息子と同じ3歳のお子さんがいるって言ってたわ。

 

なんなんですかね、この後味の悪さったら。

 

Sさんに幸多かれ。

この記事を書いた人

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リョウコ

1974年生まれ。子供が2人と旦那が1人で、栃木県在住。
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