【読書感想】『シナの五にんきょうだい』を読んで

旦那さんが、

トップ画像に雪を降らせてくれました。

1月4日まで降り続くそうです。

スマホでは見れないそうです。

旦那が娘に本を読んであげました

 

昨晩は、おとーちゃんが娘を連れて

一足早く寝に行きました。

 

寝る前に本を読んであげたそうです。

 

朝、おとーちゃんは起きてくるなり、

 

「あの『シナの五にんきょうだい』って絵本は、

何がなんだか、さっぱりわかんなかった!」

 

と感想を述べてくれました。

 

私はその本を読んでいなかったので、

どんな本なのかあらすじを聞いて、

興味が湧きました。

 

で、娘が幼稚園に行ってる間に読んだのですが、

 

えーー!

これ、おもしろい〜!!

 

久しぶりにワクワクしてしまいました。

 

何しろ絵がかわいい。

どうやら中国の民話に元ネタがあるみたいです。

 

民話っぽい混沌とした世界観だから、

逆にこの世の理不尽さとか人間の残虐性なんかが

ストレートに伝わって来て

(大げさですね)

絵本のよさってこれだよね〜と感心してしまいました。

というのが、私の初見で持った嘘偽りのない感想です。

ちなみに瑞雲舎のを読みました

 

それで読書感想文を書こうと思って、

出版年とか作者さんのこととかを調べることにしました。

 

『シナの五にんきょうだい』は、

クレール・H・ビショップさんというアメリカの作家さんが

1938年に発表した作品で、

日本では1961年に、福音館書店から

石井桃子さん訳で刊行されております。

 

私の読んだのは瑞雲舎から1995年に再発された

川本三郎訳のものです。

 

実は福音館書店の本は、1978年に絶版になっております。

中国人を戯画化して描いている、

またシナという言葉が差別的であるという理由からのようです。

絵本の差別表現について思うこと

 

『チビクロサンボ』と同じで、

「シナ」という呼称だけを禁止にすれば

差別がなくなる訳じゃないから、

こういう問題の本質は

多分そこじゃないのだろうなあと思ってます。

 

その一方で、

いろんな議論の中で、

様々な立場の人が意見を言い合ってこそ

社会は成熟していくのでしょう。

 

この『シナの五にんきょうだい』は、

絶版になった過去があって

現在はこうやってまた手に取ることができるというのも

何か一つ社会が動いた証左という気がして

感慨深いものがあります。

絵本は誰のものなのか?

 

1961年の福音館版は石井桃子さんが訳出されてます。

 

今回少し検索して元ネタには辿りつけなかったのですが、

石井さんの著書の中の言葉が印象的だったので、

ちょっと人様のブログから

失礼ながら引用させていただきます。

 

『香港ママの便利帳』というブログです。

 

訳者の石井桃子さんは、「子どもの読書の導きかた」の 中で、石井さんのかつら文庫に訪れる子ども、誰でも大好きなお話で、一番記憶に残るお話がこの『シナの五にんきょうだい』だと。

「このお話には、子どもをひきつけて、しまいまでつれてゆき、そこで満足させておわるという、お話にはなくてはならない条件が完全にそなわっていると思 います。(中略)このお話の中には、子どもの心に、形となってえがけないことばは、ごくわずかしか出てきません。心にえがけないというのは、抽象的なこと ばです。」(抜粋)

 

私が『シナの五にんきょうだい』を読んで

おもしろいと感じた何かが端的に表現されてます。

「引きつけて、しまいまでつれていき、満足させて終わる」

まさに、これです。

 

これは絵本だけじゃなくて

全ての大衆芸術に通じるものではないでしょうか。

 

子供は無意識のうちにこれを嗅ぎ分けて、

喜びを感じます。

そのワクワクする喜びの機会を

少しでも多く与えてあげるのが

大人の仕事なのではないだろうか?

 

「シナ」という呼称や

首切り、火あぶり、生き埋めなど

ショッキングな言葉を捉えて、

大人は警戒します。

 

「こんな残酷な話を子供に読ませて大丈夫だろうか?」と。

 

でも、話全体が残忍なトーンで貫かれてる訳ではなく、

五人兄弟の超人的な能力や

海の水を全部抜いて珍しい小石や貝を

拾うのに夢中になる子供とか、

何度も母親への面会を許可する裁判長とか

死刑で盛り上がる民衆とか

見所満載です。

 

その中から、子供たちが何を受け取るかは

それこそ一人ひとりの資質だと言えます。

 

 

 

 

 

受け取られたイメージは

一人ひとりの心のなかで育っていき、

それは誰にもコントロールできません。

 

ただ、

たくさんたくさん本を読んで

心の中にいろんなイメージを持って

感受性の豊かな大人になって欲しいと願うことはできます。

 

いつか大人になった時に、

希望とか未来とか

そういう言葉がもう輝いてなくても、

小さい頃に感じたキラキラしたイメージを

心の中に持っていれば

幸せを感じながら

生きていけるのではないでしょうか?

 

絵本の感想とは随分逸れてしまったけど、

自分もそう考えれば

色んな絵本を心の中に持っているなあ

などと考えた

『シナの五にんきょうだい』でした。

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

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リョウコ

1974年生まれ。子供が2人と旦那が1人で、栃木県在住。
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